「…スミマセン」
とっさに口から出る言葉は、いつもそればかり。
言い方がきつい上司に怒鳴られて、ツライ想いをして…。
なのに、そんな「言い返せない自分」にモヤモヤしたりもして、泣きたくなることもありますよね。
でも、本当は心の中でこんな風に思ったこともあるはずです。
『言い方がきつい上司に言い返してやりたい!!!!』
その気持ちすっごくわかります。
そしていつも自分の心の中では、毎日リハーサル。
「ああ言われたらこう言い返してやる!」って思っても、いざとなるとやっぱり言えない。
それに、同時にこんなことも不安じゃありませんか?。
- 言い返しても、もっときつく言い返されたらどうしよう…。
- 職場の空気が悪くなって、自分が会社に居づらくなったら…。
- 勇気が出ないし勇気を出しても損をするだけかもしれない…。
この記事では、
- 言い方がきつい上司に『言い返す』とどうなるのか?
- 上手に言い返すためのポイントと文例は?
- 言い返さなくてもできる”自分を守る”方法は?
についてやさしく丁寧にお伝えしていきます。
あなたが「本当はどうしたいのか?」を大切にしながら一緒に考えていきましょう。
言い方がきつい上司に言い返したい!はごく自然な感情です
上司にきつい言い方をされると、どうしても言い返したくなりますよね?
なぜ人は「言い返したい!」と思うのでしょうか?
それは、次の3つの理由です。
- 自分を否定されたと感じて、自尊心が削られるから
- 相手の言葉に対して、反応するのが自然だから
- 自分は悪くないから
人は、自分が否定されたときに、自分の人格そのものを否定されたと感じるものです。
「人格の否定=存在そのものの否定」と受け取ってしまってもしょうがないです。
その結果、自尊心が削られてしまいます。
自尊心が削られて、自己肯定感が下がるから、悲しいとかツライとか感じるわけです。
また、人は、会話でコミュニケーションを取るのが普通です。
だから、相手の叱責の言葉にも、怒りや反発として何らか反応(返答)をしたくなるのはごく自然なことなのです。
そして、人は「自分は悪くない」と感じることで、心のバランスを保ちます。
人間が生きていくには、心や体の状態を一定に保とうとする性質を持っていて、これを「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びます。
自分の心を守るためにとても自然な反応なんです。
たとえ、ミスをしてそれを叱責されたとしても、「そこまで言う必要ある?」と感じるのは自然です。
実際、「そこまで言う必要はない」ことがほとんどです。
だからこそ、あなたの「言い返したい!!」という気持ちは、心を守るための反応なんです。
大切にしなきゃいけない「心のケア」なんです。
これは決して、あなたのわがままや弱さではありません。
きつい言い方の上司に言い返すリスクと注意点
とはいえ、上司のきつい言い方に毎日毎日ついカッとなって、感情のままに言い返すと、思わぬ結果を招くこともあります。
たとえば、
- 上司がさらに強い言葉で返してくる
- 周囲からヒステリーな人と思われて、浮いてしまう
- 会社の空気が悪くなり、悪者にされて居づらくなってしまう
ということが予想できます。
上司がさらに強い言葉で返してくる
強く言い返したら、相手も「お…おう。」となって、それ以降きつい言い方をしなくなるというケースがあります。
たとえば、クラスのいじめられっ子がキレて反発したら、それからはいじめられなくなったという話も聞きます。
しかし、会社では上司の方が立場が上です。
相手はその立場を利用してあなたにきつい言い方をしてきてるとも言えます。
だから上司がさらに強い言葉で返してくるとなったら最悪ですよね。
今まで以上に会社に行くのが辛くなりそうです。
周囲からヒステリーな人と思われて、浮いてしまう
今まで萎縮していた人が急に反論すると、さきほどのいじめられっ子の例のように、周りには「急にキレ始めた」と見えることもしばしばあります。
そうなると、周りからは「腫れ物を扱うように」されてしまい、浮いてしまう可能性もあります。
会社の空気が悪くなり、悪者にされて居づらくなる
一番つらいのは、「悪者」にされてしまうことかもしれません。
もともと悪いのはきつい言い方をしてくる上司のほうなのに、言い返したあなたが「場の空気を乱す人」として扱われる…。
言い返したら悪者あつかいされるってなんかバカらしくないですか?
でも残念なことに、会社ではそういった理不尽が起こることがあるんです。
けどよく考えてみると、相手に泥を投げられて腹が立ったからって、あなたも泥を投げ返したらどうなるでしょうか?
そうです。あなたの手も心も汚れてしまうんです。
上司の上司に言ってもらうのは意味がない?
じゃあ、「どうすればいいの?」と思ったとき、まず思いつくのが、「上司のさらに上司に言ってもらう」という方法かもしれません。
確かに王道のように見えますし、一見、自分で言い返すよりリスクは少なそうです。
しかし、実際にはあまり効果が期待できないことも多いんです。。
言い方がきつい上司というのは、「殿様タイプ」に当てはまることが多いです。(詳しくは以下の記事で解説しています)
参考記事:言い方がきつい人の特徴とは?7つのタイプ別の対処法とは?
私自身もそうでしたが、誰かに「その言い方はきついよ」と言われても、自分の言い方を改めることはありませんでした。
私が本当に変われたのは、「きつい言い方で人を傷つけていると自分自身で気付いたから」です。
つまり、残念なことにあなたの上司は、さらにその上の上司から注意されたとしても、あなたに対する言い方を改める可能性は極めて低いです。
むしろ、あなたにチクられたせいで注意されたと感じ、関係がさらにギスギスしてしまうおそれもあります。
そのため、上司の上司に指摘してもらうという方法はあまりおすすめできません。
だからこそ、「どうすれば上司を変えられるか」ではなく、「どうすれば自分の心を守れるか」という視点を持つのが大切なのかもしれません。
「辞めると決めたら言い返す」のは正解?
一方、「会社を辞めると決めてから一度言い返してやろう」と考える人もいるかもしれません。
しかしこの方法も私はあまりおすすめしたくはありません。
その理由としては、次のようなことが考えられるからです。
- 初めて言い返すので、上手くいかず、涙を流してしまうことになる
- 上手くいったとしても、そのときはスッキリするが、あとから心にしこりが残る
- 「あの人すごい辞め方したよね」と後から噂になる
それぞれについて解説していきます。
初めて言い返すので、上手くいかず、涙を流してしまうことになる
まず、あなたのように優しい人や気の弱い人は、言い返すことそのものに慣れていません。
そんな人が初めて言い返そうとすると、たいていの場合、うまくいかないものです。
とはいえ、こんなことが上手でもなんの自慢にもならないので、それはそれで良いことなんですけどね。
で、うまくいかないとどうなるか?というと、
- 涙を流してしまって、
- 言いたいこともまとまらず、
- 思わず感情があふれて言いたかったことがうまく伝えられない…
こんな状態になることもあります。
こうなってしまうと残念なことに、あなたの想いは半分も遂げられてないんじゃないかなと思います。
上手くいったとしても、そのときはスッキリするが、あとから心にしこりが残る
もし仮にすっごく準備して、何を言うかもどう言うかも決めて、上司に上手に言い返したとします。
するとどうなるでしょう?
少し想像してみてください。
もうおわかりですよね?
きっとそのときはスッキリしますが、あとから心にしこりが残ることになります。
なぜなら、あなたは普段、そんな言い返し方をしてきてない優しい人だからです。
たとえば、車を運転していて、民家の塀にちょっとこすってしまったとします。
降りて確認してみたけど、塀には目立った傷はなさそう…。
そこで通報したり、住民の方に声をかけたりせずにそのまま走り去ってしまった。
そのときは「まぁ、大丈夫だろう」とタカをくくったものの、家に帰ってからはずっとモヤモヤ…。
「バレたらどうしよう」とか「やっぱあのとき声をかけておけばよかった…」とか「あのあとすぐに住民が出てきていて、ナンバープレートを見られていたかも…」とかあとからずっとドキドキが残りますよね?
上司に言い返すのもそれとちょっと似ているかもしれません。
もし仮に上司に上手く言い返せて、その場はスッキリしたとしても、あとから「本当にあれでよかったのかな?」って心にしこりが残ることになりそうじゃないですか?
会社を辞めるなら上司とは二度と会わなくなると思います。
でも、あなたは「激しい言い方で上司に言い返したあなた」と一生付き合わなきゃいけなくなるんです。
あなたは言い返した事実を思い出すたびに、嫌な上司のことを思い出すことになります。
せっかく会社を辞めるのに、それじゃ意味なくないですか?
言い返すのはあなたの心にしこりを残すので、あなたの心の健康を保つために、私はおすすめしたくありません。
「あの人すごい辞め方したよね」と後から噂になる
自分が辞めてしまったあとの会社には自分はいません。
だからそんなところでどんな話をされていても関係ないと思うかもしれません。
しかし実はそんなこともないんです。
日本では古くから”言霊”というのが信じられてきました。
口に出した言葉にはチカラが宿るーーそんな話をあなたも聞いたことがありませんか?
もし、あなたが会社を辞めるときに、上司にものすごい言い返し方をしたとします。
すると、あなたがいなくなったあとで「あの人すごい辞め方したよね」と噂になります。
しかもそういう話は当人がいないもんだから、どんどんエスカレートします。
過去のなんでもなかったことまで持ち出して、「あんなこともあった」「こんなこともあった」「今にして思えばあれも…」だなんてことに。
あなたがいないところで、あなたに対して負のイメージを持った人たちが、負の言葉を吐いている。
想像しただけでも嫌な気持ちになりませんか?
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざの真意はここにあると私は考えています。
せっかく会社を離れるなら、良いイメージを残して去る方がきっとあなたのためになりますよ。
それでも言い方がきつい上司に言い返す方法は?
それでもつらい日々が嫌になって「上司に何か言い返してやりたい…!!」と思う人もいるかもしれません。
そんなあなたのために、上司に言い返す方法を3つ紹介します。
具体的な方法は、
- オウム返しをする
- 自分の感情を伝える
- 意味を聞き返す
です。
共通しているポイントは「ガツンと言い返す」のではなく、「やんわりと言い返す」ということです。
「言い返す=攻撃」ではなく、「線引する=自衛」という意識を持つと良いと思います。
言い方がきつい上司をやっつけよう!という意識を持たないことがもっとも大切ですよ。
とはいえ、覚えておいていただきたいのは、ここで紹介している方法で言い返したとしても、上司からさらなる反撃を食らう可能性は十分にあるということです。
オウム返しをする
言い返す方法として最もポピュラーかつ、最も効果的なのは「オウム返し」です。
たとえば、
- 上司「お前はバカなのか?」
- あなた「はいバカです。」
とか、
- 上司「お前は何回同じことを言ったらわかるんだ?」
- あなた「何回言ったらわかるんでしょうね。」
という感じです。
言い返し方の基本として、紹介されることが多いオウム返しですが、一方で危険な面もあります。
それは、「上手くやらないと逆に相手の機嫌を損ねる」ということです。
相手のきつい言い方を華麗にスルーする感じでやると効果的です。
自分の感情を伝える
自分の感情を伝えるのも効果的です。
この際に注意してほしいのは、泣いたり怒ったりして感情を爆発させることなく、冷静に返すということです。
たとえば、上司に何らかのきつい言い方をされたとします。
それに対してあなたは、
- あなた「そういう言い方をされると、少しつらいです」
とか
- あなた「今のは少しひどいです。傷つきます。」
という風に自分の感情を伝えるのです。
そうすると、上司に対して「その言い方はよくないと」というメッセージを送ることができます。
あくまで、「私はこう感じた」と主語を自分にするのがポイントです。
できるだけ、上司のことを否定せずに、自分の感情を伝えましょう。
すると、上司も「ひどい言い方をして他人を傷つけてしまった」ということに気づかせられる可能性があります。
意味を聞き返す
一方で、こんな方法もあります。
- 上司「<きつい言い方>」
- あなた「今の言葉、ちょっとびっくりしてしまったんですが、どういう意味ですか?」
という感じで意味を聞き返すのです。
あまり大きすぎる声で言う必要はないと思いますが、ある程度は周囲に聞こえるようにすると、
「ん?あの上司、失礼なことを言って人格をおとしめてるのか?」
と知らせることができ、上司がきつい言い方をしにくくなる効果も期待できます。
少し大きな声を出すとか、若干ですが上司を否定するニュアンスを含むので難しいかもしれませんがよい方法の一つです。
きつい言い方をする上司って、たいていは何も考えずに言い放っていることが多いです。
だからその意味を聞き返すことで、上司自身が「どういう意味で言ったかな?」と考えます。
そこでもし上司が「この言い方は相手を傷つける可能性がある」ということに自分で気づいたとしたら、きつい言い方が治る可能性もあります。
なぜなら、人間は「自分で気づいたことは真実だと思い込んで大事にする傾向があるから」です。
たとえばコミュニケーションのセミナーやコーチングなどの場面でも、自分自身で気づかせることが重要とされています。
私も、「きつい言い方で人を傷つけた」と自分自身で気付いたからこそ、言い方を改めるようになり、こうして情報発信をするようになったのです。
上司自身も自分で気づいてくれると非常によい結果になると思います。
言い返さずに自分を守る方法は?
さて、ここまで読んできて、あなたはどう感じましたか?
あなたはどうしたいでしょうか?
少しの間、考えてみてください。
いま、毎日毎日すごく嫌な気持ちになってますよね。
だから上司に言い返してやりたいという気持ちはすごくわかります。
しかしさきほどもお伝えしたように、言い返しても良いことはありません。
もう一度言いますが、相手に泥を投げられて腹がたったからって、泥を投げ返しちゃいけません。
そんなことをしたらあなたの手も心も泥で汚れてしまいます。
お釈迦様の教えにも悪口は受け取らないと相手のもとに戻るというのがあるそうです。
だから、言い方がきつい上司はなぜ私にだけ…?あなたを守る対処法は?の記事でもお話したように、『自分を守るための選択肢』をとることも考えていただきたいのです。
本当に勇気を出すべき場面は?
「何も言い返さずに職場を変えるのは、自分が負けたように感じてしまう。」
そう思うのはよくわかります。
だから「辞めると決めてから言い返そう」と考える人が後を絶たないのです。
ただ、言い返すというのは、それなりの勇気が必要な行動です。
しかし、これまで紹介したように、言い返すことには相応のリスクが伴います。
勇気を振り絞ってまで、そのリスクをとってどんな見返りがありそうでしょうか?
だとしたら、あなたにとってプラスになる別のところにその勇気を出した方が有意義な気がしませんか?
まずは自分の心の傷、心の声に気づいてください。
あなたに本当に必要なのは、『あなたの環境を選びなおす勇気』だということを知ってください。
今の環境がすべてではありません。
あなたを尊重してくれる職場は、きっと他にもあるはずです。
あなたが安心して働ける場所は、きっと他にもあります。
まとめ:言い方がきつい上司に言い返す勇気より大切にしたいこと
言い方がきつい上司に毎日悩まされるのは、本当にしんどいですよね。
「言い返したい」とか「わかってもらいたい」というのは、すごく自然な気持ちです。
でもね、どうか忘れないでください。
あなたは誰かにひどい言葉をぶつけられるために働いているわけじゃない。
だからこそ、「どう言い返すか」ではなく、「どうすれば、あなたの心がこれ以上傷つかずにすむか」を考えるのが、あなたの人生にとって本当に大切ではないでしょうか?
今の職場環境に少しでも限界を感じているなら、転職して職場環境を一新するというのも選択肢の一つです。
「あなたが本当に安心して、のびのびと働ける」
どこかに必ずあります。
今感じてしまっているつらさをヒントにして、それを一緒に探して行きましょう。
でも…次の職場でも同じように言い方がきつい上司に当たったら…?
でも・・・、そんなふうに不安になる気持ち、よくわかります。
『また次の職場でも同じようなことが起きたらどうしよう…。』って心配になりますよね。
でもそれは、「変化をさけようとする心のはたらき」ーー
心理学でいう「現状維持バイアス」によるものなんです。
人はたとえ今がどれだけツライ状況であっても、「これまでと同じ場所にいたい」と思ってしまって、変化が起こるのを嫌うんです。
これはごくごく自然なこと。
決してあなたの弱さのせいじゃないんです。
だからこそ、一人で悩むのではなく、誰かに相談してみてほしいのです。
第三者目線からしっかりあなたの現状を分析してもらうときっとあなたのためになるはずです。
たとえば、dodaの転職エージェントに今の職場で感じている悩みを相談するのもアリ。
あなたにとって本当に大切な「働き方」や「働く環境」をプロの視点から客観的にアドバイスしてくれるはず。
ここで「このままでいいのかな…?」と心が揺れ動いている今こそが、動き出す最大のチャンスです。
時間は経てば経つほど行動するハードルがどんどん上がってしまうし、不安や迷いも大きくなります。
そして毎日のストレスはどんどん積み重なっていきますよ?
ここでこの記事に出会ったことこそが、あなたにとってのキッカケだったと考えてみませんか?
「あとで相談しようかな…。」じゃなく、今すぐに下のボタンを押して、必要事項を入力する。
やるべきことはそれだけです。
そうすれば、dodaのエージェントがあなたをきっと導いてくれます。
今、勇気を出して一歩を踏み出してみましょう。