Yahoo!知恵袋にこんな質問がありました。
彼氏の言い方がきつくて責められているように感じます。
たぶん彼氏的にはアドバイスしているつもりで、正論をぶつけてくるだけなのですが。こんな時、どんな風に傷ついていることを伝えたらいいのでしょうか? 「どうして最近そんな言い方なの?言い方がきつくて怖く感じてる。あなたは今怒っているからそんな口調なの?」 という事が聞きたい伝えたいのですがこれだと角がたちますか? これからも良い関係を築きたいので、私が彼氏とコミュニケーションを取ることが今負担になっていて傷ついていることを伝えたいです。
彼氏が「正論だけど言い方がきつい」ときって、どうしたらいいのかわからなくなりませんか?
結論から言えば、この質問者の方の聞き方・伝え方では、角が立つのは間違いないでしょう。
じゃあどんな言い方で伝えればいいのでしょうか?詳しくお話していきます。
正論だけど言い方がきつい彼氏には「聞く」のはNG
まず前提として、「なんでそんなきつい言い方をするの?」という疑問がありますよね?
その疑問にお答えしていきます。
彼氏は舐められたくない
言い方がきつい彼氏の心理はいくつかありますが、ほとんどの場合で、あなたより自分の方が上だと思ってることが原因だと考えられます。
つまり、あなたに対して「教えている」という意識が根底にあるわけです。
だから、「なんでそんなきつい言い方をするの?」と聞くと、彼は「俺がせっかく教えてやってるのに!」という心理になってしまいます。
これは、あなたは「きつい言い方をする理由」が聞きたいのに、彼の中では「そんな正論を言う理由」を聞かれたことにすり替わることに起因しています。
結果として、あなたは彼氏を舐めているわけではないのに、彼氏は舐められたと勘違いして、怒ってしまう可能性があるのです。
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「なんで?」という質問は過去に向けた責め
人は誰しも、自分が可愛いものです。
だから「人に責められる」というのは、不快に感じます。
ここで問題になってくるのは、「なんでそんな言い方するの?」という質問が、過去に向けられているという点です。
すなわち、あなたは無意識のうちに”彼氏がきつい言い方をした”という過去を責めているということなのです。
Panasonicの創業者で、『経営の神様』と呼ばれた松下幸之助もこのように話していたことがあると言われています。
部下がミスを犯したときに、「なんでそんなことしたんや?」という言葉、一見すると原因究明のための合理的な言葉に聞こえるかもしれへん。
でもこの「なんで?」という言葉は相手の失敗や落ち度を責め立てるための槍になるんや。
日常的についつい言いがちな「なんで?」という問いは相手を傷つけているかもしれないというわけなんですね。
正論だけど言い方がきつい彼氏にはどう伝えると角が立たない?
じゃあ”正論だけど言い方がきつい彼氏”に「言い方がきつい」ことを伝えるにはどうしたらいいんでしょうか?
実は、この問いそのものに答えが隠されています。
つまり、彼に聞くべきなのは「どうしたら?」という質問というわけなんです。
「どうしたら?」は未来に向けた質問
先述の通り「なんで?」という質問は、「なんでそんなことをした?」「なんでやらなかった?」のように、過去の出来事を責める質問です。
一方、「どうしたら?」という質問は、「どうしたらできる?」「どうしたらいいと思う?」など、未来を改善するための質問です。
ただし、いきなり「どうしたら」と聞いても唐突すぎますよね。
だから大切なのが、まず「あなたがどう感じたか?」を最初に率直に伝えることです。
彼への伝え方ステップ①:まずは感情を伝える
まずはあなたがどう感じたかを彼に伝えましょう。
伝えるべきポイントは2つ。
- 言っている内容は正しいので、受け入れたいこと
- でも言い方がきつくて、傷ついた(怖い・つらいなどでもOK)
単に言い方がきついことだけ伝えても、彼は「俺の言いたかったことは伝わってない」と感じてしまうので、必ず言い分は受け入れていることを伝えましょう。
また、感情を伝えるときに注意するのは、一度に多くの感情を伝えないことと、別件を持ち出さないことです。
あなたも話をしているうちにヒートアップしてしまって、「だってあなたはあのときも!このときも!」ってなったことないですか?
あれもこれもと別件を出されて、しかも「私は悲しいし、辛いし、怖いし、傷ついてる!」と伝えても相手には届きません。
わかりやすく言うと、生け花で使う剣山はたくさんの針がありますが、剣山に指を当てても上手く刺さりませんよね。でも、縫い針など1本の針に指を当てると、ズブリと刺さってしまうのと同じことなのです。
彼には、まず、「今回の言い方で私がどう感じたか?」の1点だけを伝えることにしましょう。
彼への伝え方ステップ②:どうしたらよりよい未来があるかを問う
次にいよいよ、「どうしたら?」と尋ねていきます。
ここでもポイントが1点あります。
それは、相手の言動だけにフォーカスした「どうしたら?」を使わないこと。
つまり、次のような言い方はNGです。
- 「どうしたらそういう言い方をやめてくれる?」
- 「どうしたら怒らなくなる?」
- 「どうしたらもっと普通にしてくれる?」
- 「どうしたら私を責めないでくれる?」
- 「どうしたら私に冷たい態度をとらないでくれる?」
なぜならこれらは、「どうしたら?」を入れて言い方を変えただけで、本質的には「なんで?」と同じ質問だからです。
つまり、彼に投げかけるべき質問としては、
「どうしたらお互い気持ちよく過ごせるようになる?」
など、二人の過ごし方にフォーカスした質問にするとよいでしょう。
彼への伝え方ステップ③:お互いの反省点を自ら出す
最後に、あなたの側から、「私はこの件で、こういうところを直さなきゃいけないなと感じたよ」と彼に伝えることが最重要です。
このように自己開示して自己修正の意思を先に示していると、相手は対等性を重視して、攻撃性が下がるからです。
具体的には、
- 非対立的な雰囲気を作れる
→「あなたが悪い」ではなく、「私も直したいところがある」ということで相手は責められてる感が無くなる - 相手にあわせ鏡を促せる
→人は相手が自分の欠点を認めるのを見ると、「じゃあ自分も…」と自己修正に向かいやすくなる - 建設的な共同作業モードに入れる
→責め合いではなく、「一緒に改善していく」という未来志向の関係づくりにつながる
といった効果が得られます。
つまり、あなたが「私はここを直す」と伝えれば、彼も「じゃあ俺も言い方が悪かった…」と反省してくれる可能性があるというわけです。
一度、「自分の言い方がきついのを直す」と伝えた彼は、今後きつい言い方をするたびに、自分の中のセルフイメージとの差に違和感を感じるようになります。
この状態を認知的不協和といって、人は気持ち悪く感じてしまいます。
その結果、彼の言い方がだんだんマイルドになっていくことが期待できます。