上司や同僚など、身の回りに言い方がきつい人がいて悩んでいる…。
もしかして、「あの人、育ち悪いんじゃないの?」と感じてモヤモヤしてませんか?
その気持ち、すごくよくわかります。
この記事では、言い方がきつい人はどの程度「育ち」が影響してあんな風になっているのか?
について詳しく掘り下げていきましょう。
まず先に結論から述べます。
言い方がきつい人がそうなってしまった原因は「育ちが7割、本人の気質が3割」です。
それは一体どういうことなのか?
そして、それがわかったとして、こちらにできることは何かあるのか?といったことについてお話していきます。
言い方がきつい人が影響を受ける「育ち」とはそもそもどんなこと?
まず、「育ち」ってそもそもいったい何?というところから見てみましょう。
言い方がきついひとが影響を受ける背景には、およそ次の7要素のようなことが関係していることが多いのです。
これらの部分があまり良いとは言えない環境で育った人がすなわち「育ちが悪い」と定義されます。
育ちとは?
- 親の言葉づかいが悪い・感情コントロールできない
- 家庭に経済的な余裕がない
- 人との接し方などしつけ・マナーができてない
- 家庭内の会話がない・兄弟姉妹がいない
- 暴力や虐待・ネグレクトがあった
- 親の教育環境や学歴が低い
- 地域や文化的な背景がある
それぞれについて簡単に解説します。
親の言葉づかいが悪い・感情コントロールできない
子どもにとって、親がどんな話し方をするか?は実はとても重要な問題です。
親が感情的だったり命令口調だったりすると、子どもも同じような話し方を身につけやすいからです。
同様に、親がすぐ怒鳴ったり、手が出たり、冷静に対話できないと、子どもも同じように育つ可能性は高いです。
家庭に経済的な余裕がない
経済的に苦しい家庭では、親のストレスが高いことが多いです。
その結果、子どもへの接し方も厳しくイライラしたりして、強く当たりやすい傾向にあります。
貧しい家庭の子ども=言い方がきついと必ず言えるわけではもちろんありませんが、家庭の経済状況はその人の人格を形成するのに大きな影響を与えることが多いです。
人との接し方などしつけ・マナーができてない
他人への挨拶や感謝の言葉、公共の場でのふるまいなど、基本的なしつけをされていない子どもは、無礼なことが多いです。
たとえば、友達の家に行って、挨拶もしない、お礼も言えないというような子どもは、他の子に対して高圧的に接したり、いじわるをしたりといったことがあります。
また、批判を恐れずに言えば、たとえば、親が中卒ヤンキーなどの場合、コンビニやファミレスの店員に対して、やたらと横柄な物言いをすることがあります。
もちろん、中卒ヤンキーすべての人がそうというわけじゃありません。
礼儀正しい人はたくさんいますし、年齢が上がるにつれ改善する傾向はあります。
しかし、子どもは親を見て育つもの。
中卒ヤンキーの子どもはけっこう「あぁ…(察し)」となることも、正直けっこうありますね。
家庭内の会話がない・兄弟姉妹がいない
家庭内での人間関係も非常に重要なファクターです。
たとえば、兄弟姉妹がいるだけでも、順番を守ったり、互いにゆずりあったりと社会性を学ぶには十分だと言えます。
親同士の会話や親と子の会話の質と量が高いと、子どものコミュニケーション能力も上がりやすいです。
逆に言えば、家庭内での会話の質と量が低い場合、子どもはコミュニケーションを学ぶ機会が少なく、他人に対して思いやりを持った言い方ができないといったことがあるでしょう。
暴力や虐待・ネグレクトがあった
親が感情を上手にコントロールできない場合、子どもに対して暴力をふるったり、ネグレクトしたりといった悲しいことが起こる場合もありますね。
暴力やネグレクトを受けて育った子どもは、むしろ自己主張ができず、周囲の顔色を伺う子どもに育ちがちです。
しかし、こういった人たちも、一度立場が変わると、そのトラウマから強烈な言い方をする人になることもしばしば。
一転して自分の親と同じように、他人に対して非常に暴力的な言動をとったりします。
これは、心理学の世界では「攻撃者との同一化」と呼ばれている現象です。
詳しくはこちらで解説:言い方がきつい人の特徴とは?7つのタイプ別の対処法とは?
親の教育環境や学歴が低い
親が受けてきた教育環境や学歴も非常に重要です。
親が高い教育を受けてきていると、言葉選びや社会的なスキルも高くなりやすいでしょう。
しかし、一方で、親が高すぎる知性を持っているような場合、他人を見下したり、人を人と思わないような物言いをしたりすることもありますので、一概に高ければ高いほどいいとも言い切れません。
ただし、親の学歴や教育環境が、その人がきつい言いをする要因の一つであるのは間違いないと言えるでしょう。
地域や文化的な背景がある
地域的な背景や文化的な背景も、その人がきつい言い方をする要因の一つです。
その最たるものが方言の存在です。
たとえば、私が生まれた市の方言は、非常に言い方がきついです。
方言には、イントネーションや、語尾の変化、独特な言葉など、いろんな要素がありますが、とにかくそれがすべてきついんです。
もはやその市に住んでいる老若男女ほぼすべての人がきつい言い方をしていると言ってもいいです。
具体的に言うと、その地方では、「早くしてよ」というとき、「早くしね!」と言います。
他県の人が聞いたら、「早く死ね」と言っているように聞こえ、ぎょっとするそうです。
私は進学で他県に行ったときに初めてその事実を知りました。
このように、あなたの周りの言い方がきつい人も、もしかすると、生まれた土地がそんな場所だったのかもしれません。
言い方がきつくなりやすい「本人の気質」とは?
これまで、「育ち」という環境的な要因を見てきました。
今度は、「その本人が生まれ持った気質」のうち、言い方のきつさに影響を与えそうな要素をみていきます。
言い方がきつくなりやすい本人の気質とは次の3つです。
気質とは?
- 完璧主義・白黒思考をする
- 共感より論理を優先するタイプ
- プライドが高い
こちらも一つずつ紹介していきます。
完璧主義・白黒思考をする
本人の気質として完璧主義とか白黒思考がある人は言い方がきつい人になりやすい傾向にあります。
こちらの記事で言う、委員長タイプがこれにあたります。
関連記事:言い方がきつい人の特徴とは?7つのタイプ別の対処法とは?
このタイプの人は「ルールを守ること」に重きを置いている傾向があり、物事に「良い・悪い」とか「正しい・間違い」など白黒ハッキリつけたがります。
あいまいなことに耐えられず、ついつい厳しい物言いになってしまうのです。
私もこういう気質が多少あるのでよくわかるのですが、「ちゃんとしてほしい」という思いが強いです。
だから相手を正してあげようとか、導いてあげようという「あげよう意識」で話すうちにヒートアップして、いつの間にかきつい言い方になっていきます。
共感より論理を優先しがち
言い方が丸い人は、相手の感情をきちんと感じ取って、相手に共感しながら話をすすめます。
しかし、論理を優先しがちな人は、相手の感情に気づかず、理屈を重視してしまいます。
その結果、「なんでそれができないの?」とか「いやそれは絶対違うから」といった、自分が思ったことをストレートに言葉に出してしまいがちです。
こうしたタイプの人は感情を無視したような言い方になりやすく、聞いているこちらが責められているような、冷たいと感じてしまうことがよくあります。
プライドが高い
プライドが高く、他人を見下す傾向がある人は言い方がきつい人が多いです。
自分の考えや価値観、方法論に絶対の自信を持っていて、「自分が正しい」「自分のやり方がベスト」という前提で相手をみます。
そのため、あなたが何か意見を言うと、「うん、それもいいだけどさ」と一旦は同意するフリを見せながら、あなたの意見を全面否定して、本人の考えを押し付けてきます。
自分の思い通りに事が動かないのが気に入らないのです。
このような人達は、他人のミスやそのやり方に寛容になれず、自然に上から目線や命令口調になってしまいがちです。
本人は、「正論を言ってるだけ」とか「ちゃんと教えて”あげてる”だけ」と思っているのに、周囲の人には”威圧的”に感じられることが多いのです。
言い方がきつい人が「育ちが悪い」と思われるのはなぜ?
ここまでで、「言い方がきつい人」の背景には家庭環境など「育ち」要素だけでなく、本人の思考のクセなどの「気質」要素も関係していることがわかりました。
でも実際には、言い方が悪い人を見ると、「なんか育ち悪そうだな…。」と感じてしまうって事、ありますよね。
これは、その人が「言い方がきつい人になった本当の原因」というよりは、「どう見えるか」という【印象・評価】の問題であるとも言えます。
じゃあなぜ、言い方がきつい人=育ちが悪いと思ってしまうんでしょうか?
その背景には、わたしたちの中に根付いている価値観や、思い込みが関係しています。
ここではその代表的な理由を3つ紹介しましょう。
- ものの言い方は「家庭のしつけ」が反映されやすいから
- 他人への配慮のなさ=社会性の欠如と結びつけられるから
- 丁寧な言葉=上品・育ちが良いという文化的な前提があるから
それぞれについて解説しますね。
ものの言い方は「家庭のしつけ」が反映されやすいから
人の話し方や言い方は多くの場合、親や家庭環境の影響を強く受けます。
子どもはまわりの大人たちの言葉を聞いているから、言葉を習得できるのです。
逆に言えば、子どもは大人の言葉を聞かなければ、言葉を覚えません。
生まれつき耳が聞こえなかったヘレン・ケラーが、サリバン先生に出会うまで言葉を話せなかったのは有名な話ですよね。
つまり、子どもは、大人の言葉づかいを真似ることで言語を習得します。
だから例えば親がすぐカッとなって感情的な物言いをするような家庭で育つと、子どもも同じようになりやすいと言えます。
よく、慣用句として言われる『親の顔が見てみたい』というのも、これに起因していると言えます。
他人への配慮のなさ=社会性の欠如と結びつけられるから
また、他人にきつい言い方をしてしまうのは、相手への配慮が欠けていると見られることがあります。
他人への配慮がないのは、「マナーがなってないから」「常識を知らないから」と判断されやすいです。
これは、「親に礼儀作法や、人との接し方を教わってこなかったから」という連想につながります。
それはすなわち「育ちが悪い」と思ってしまうということなんです。
丁寧な言葉=上品・育ちが良いという文化的な前提があるから
日本では「丁寧な言葉づかいをする=育ちがいい」とされがちです。
たとえば、マンガやアニメ、ゲームの登場人物でも、金持ちとして描かれる育ちがいい人物って、丁寧な話し方で柔らかい物腰のキャラが多いですよね。。
具体的には、アニメ「ポケットモンスター サン・ムーン」のリーリエとか、「カードキャプターさくら」の大道寺知世とか、ドラゴンクエスト5のフローラとか。
この前提のもと考えると、その逆にぶっきらぼうで攻撃的な物言いをする人は「育ちが悪い」と考えられてしまうということです。
ところで、上で例にあげたドラゴンクエスト5のフローラにはデボラという姉がいます。
デボラは女王様気質で、きつい言い方をする女性として描かれていますが、実はそれが一種の照れ隠しであるということが、物語の中でわかってきます。
このように言い方のきつさが「育ち」ではなく、「気質や性格」によるものだという例も意外と身近にあるんですよね。
言い方がきつい人である私の「育ち」は良い?悪い?
これまでの記事でも何度か触れてきましたが、このサイトを運営する筆者本人も、かつては「言い方がきつい」と何度も言われた経験があります。
ここでは、そんな私の育ちはどうだったのか?ちょっとお話させてもらいます。
上で紹介したのは「育ち」の7要素と、「気質」の3要素を合わせて、全部で10要素でしたね。
少し振り返ってみましょう。
「育ち」の7要素
- 親の言葉遣いが悪い・感情コントロールできない
- 家庭に経済的な余裕がない
- 人との接し方などしつけ・マナーができてない
- 家庭内の会話がない・兄弟姉妹がいない
- 暴力や虐待・ネグレクトがあった
- 親の教育環境や学歴が低い
- 地域や文化的な背景がある
「気質」の3要素
- 完璧主義・白黒思考をする
- 共感より論理を優先するタイプ
- プライドが高い
これらの項目に、私個人として、それぞれ5点で評価をしてみました。
それがこちらです。
まずは「育ち」要素からみてみます。
あくまで私の私自身に対する自己評価です。
「育ち」要素 | 何点? | 理由 |
---|---|---|
両親の言葉遣い 感情コントロール | 5 | 地域性もあり、言い方がきつい。両親も怒りっぽく、すぐに怒鳴る。 |
家庭の経済的な余裕 | 3 | 幼少期はかなり貧乏だったが、父の事業が成功して途中からやや裕福になった。 |
しつけ・マナー教育 | 1 | 他人への接し方や礼儀作法についてはそれなりに教育された |
家庭内の会話兄弟姉妹 | 2 | 家庭内の会話はそれなり。兄がいるが、不登校でやや家庭内が不和に。 |
暴力や虐待ネグレクト | 1 | 意味のない暴力はなかったが、しつけと言って手をあげられたことはある |
親の教育環境や学歴 | 4 | 親の学歴はどちらも工業高卒で高いとは言えない。 |
地域や文化的な背景 | 5 | 上で述べたとおり、地域的に言葉が荒い。 |
合計は「21点」となりました。
続いて、「気質」要素です。
気質要素 | 何点? | 理由 |
---|---|---|
完璧主義・白黒思考 | 3 | やや完璧主義・白黒思考をしやすいところがある。 |
共感より論理を優先 | 2 | 他人の気持ちを無視して話をしてしまうことがあり、ストレートな物言いをしがち。 |
プライドが高い | 3 | 自分自身の学歴はそこそこのため、ややプライドが高い傾向がある。 |
こちらは合計が「8点」でした。
このように点数評価してみると、【育ち:気質=21:8】だったので、だいたい【育ち:気質=7:3】の比率に近いことがわかりました。
この結果から言えることは、言い方がきつい人がそうなった背景には、気質や性格ももちろん関係してくるけど、やっぱり育ち要素が大きい。
そして、『言い方がきつい=育ち7割・気質3割』という仮説は私のケースにも当てはまりそうです。
もちろん、あくまで私自身の感覚に基づく自己評価による結論ですが、他の人のケースでも同様の結果となるかもしれません。
とはいえ、こうして自分の背景を点数化してみると、やっぱり「育ち」の影響の方が強かったんだなぁと改めて実感しますね。
「言い方がきつい人は育ちが悪いんだ」と思って心をラクに
これまで見てきたように、言い方がきつい人がそうなった背景には、育ちが大いに関係していると言ってよさそうです。
それを踏まえたうえで、あなたが取れる対処法は?というと、ズバリ『この人は育ちが悪いからしょうがないよね』と割り切ることです。
「なんでこの人はこんなに言い方がきついの?」とか「なんで私がそんな言い方をされなきゃいけないの?」とか色々と思うところはあると思います。
そりゃそうですよ。きつい言い方をされていい気分になる人間なんてこの世のどこにも存在しません。
あなたの感覚は正しいんです。
でも、あなたがその人をどうにかする方法がほとんどないのも一つの事実なのです。
だったら、もういっそ「あの人は育ちが悪い可哀想な人」と割り切ってしまって、心を守った方が絶対いいですよ。
そうすれば、あなたが受けるストレスも少しは軽減するかもしれませんから。
もちろん、これ以上つらくなるときは、相手と物理的に距離をとったり、自身の環境を見直したりするのもとっても効果的な対処法です。
詳しくはこちらの記事で解説してます。
>>言い方がきつい人に傷つく。心を守る5つの対処法とは?
>>言い方がきつい上司はなぜ私にだけ…?あなたを守る対処法は?
まとめ:言い方がきつい人は「育ち7割:気質3割」
この記事では、「言い方がきつい人」がそうなってしまったのにはどんな背景があるのかを見てきました。
「言い方がきつい人になってしまった理由」はきっとたくさんあって、本人の性格などの気質的要素も関係しています。
しかしそれ以上に大きく影響しているのが、やっぱり「育ち」です。
すなわち、どんな家庭で育ったか?とか親にどんな教育をされてきたか?ということです。
実際、私自身も、自分で自分を評価してみた結果、「育ち:気質=7:3」に近い比率だったことがわかりました。
あなたの身近にいる、「言い方がきつい人」に何か言われてしまったときは、
「なんて言い方するのかしら?全くどういう育ち方をしてきたの…?親の顔が見てみたいわ」
なんて心の中でつぶやいて、割り切って行けるといいですね。
そのときはもちろん、目一杯「お上品な言葉」で言うことをおすすめします。
だってそうすれば、こっちは「育ちが良い」ってことになりますからね。